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Soraが起爆させる新たなAIゲーム

最近、半導体とAIの勢いに乗って、主要市場の株価が軒並み大きく上昇しています。

株価上昇の原動力は、エヌビディアの驚異的な決算だけではありません。何より大きいのは、圧倒的な技術需要の出口——OpenAIが発表した画像・動画生成AI「Sora」の登場です。現時点ではデモ動画が公開されているだけです。社会への影響があまりに大きいため、一般公開はまだ見送られています。それでもデモ映像を見ただけで誰もが言葉を失うほどで、本当に驚くべき出来上がりです。

超高速の動画生成AI技術が再び市場を沸かせる

Soraの技術原理や効果については、すでに世の中に無数の記事が出回っていますので、ここでは簡単にまとめるにとどめます。要はOpenAIが、今回のAI革命で最も重要な技術だと証明されたTransformerと、もう一つのAIでよく使われる技術であるDiffusionを組み合わせたということです。Transformerは内容の理解に、Diffusionは画像生成の基本ツールとして使われています。もう一つの大きな技術的ブレークスルーが「時空パッチ(spacetime patch)」と呼ばれる技術です。この技術によって立体的な空間と時間を細かいブロックに分割できるようになり、時間と空間の要素を含んだこの小さなブロックを使うことで、従来は非常に複雑だった動画生成を、順序立てて論理的に行えるようになりました。

時空パッチ技術のどこがすごいのでしょうか。AIで画像を作ったことがある方ならご存じの通り、画像生成技術の進歩は非常に速く、今のAIモデルでもかなりの出来栄えのものが作れます。それなら、その画像を一コマずつ描いてつなげれば、動画になるのではないか、と思うかもしれません。

しかし実際には、静止画では処理する必要のない、立体空間における物体同士の相対的な関係や時間の要素が問題になります。時間と相対関係を考慮せずに動画を生成すると、あっという間に映像が破綻し、ダリの絵よりも意味不明な代物になってしまいます。時空パッチ技術はこの問題を解決するものです。もちろん、解決方法があることと、それを実際に実行できることはまったく別の話で、最終的にはOpenAIの天文学的な計算資源がものを言います。

これまで動画生成AIを手がける企業として、RunwayとPikaの2社が高い評価を得ており、両社とも巨額の投資資金を調達していました。しかし今回、OpenAIは事実上この2社に壊滅的な打撃を与えた格好です。

Runwayは比較的長くAI動画に取り組んできた企業で、Pikaはスタンフォード発の新星スタートアップです。両社が生成する動画はいずれもX(旧Twitter)で話題になり、それなりに使える製品も出していました。しかしSoraのデモ動画は、これら新興企業のデモとは明らかに次元が違います。まさに「次元を超えた叩き潰し」とはこのことか、と思い知らされる出来事でした。

動画生成AIは、今後2年ほどは計算資源を最も多く消費する要因になるとみられます。ある段階を過ぎれば、動画生成が全体の計算資源に占める割合は下がっていくでしょう。しかし、その先には汎用人工知能(AGI)が控えています。動画を1本作るだけですでに天文学的な数のチップを使っているのに、AGIまで作るとなれば、必要なチップの数はもはや数え切れないレベルになるはずです。「それなら、優れたモデルがオープンソース化されるのを待ってからチップを買えばいい、後発逆転を狙おう」という声もあるかもしれません。しかし、この一見賢そうな発想を実際に採用しているシリコンバレーの大手企業は、どうやら見当たらないようです。

半導体チップこそが、勝者を決める鍵となる

テック大手が愚かなわけではありません。今の技術更新のスピードでは、一度出遅れればそこで脱落してしまい、オープンソース化される日を待つことすらできないのです。だからこそ、この「待ってから逆転」という道は、現実的にはあり得ません。

この点は、最近の動画AI競争ですでに答えが出ています。もし安定した超大手企業がSoraのような超強力な動画生成モデルを提供してくれるなら、わずか十数秒しか生成できない新興企業の無料版をわざわざ使う必要があるでしょうか。当然、大手企業が提供する安定して信頼できる、使いやすい月額20ドルのサブスクリプション版を待つはずです。つまり、いまチップへの投資を怠るテック大手は、AI競争から即座に脱落してしまうということです。

では、エヌビディアやAI関連半導体企業の株価は、これからも青天井で上がり続けるのでしょうか。一つ確かなことは、この世に永遠に上がり続ける株など存在しないということです。ですから株価が上下動を繰り返すのは避けられません。しかし、私たちはまだAI革命のごく初期段階にいます。そしてAI革命の核心は、半導体チップが生み出す計算資源そのものです。エヌビディアがいつか姿を消す可能性はもちろんゼロではありません。ですが、現在の技術路線とはまったく異なるアプローチが見つからない限り、計算資源への「食べ放題」的な需要が続くことは避けられないでしょう。

世界の主要テック企業は、すでにこの状況を見抜いています。主流のやり方は、やはりエヌビディアに頼み込み、供給される限りのチップを買い集めることです。売り手市場はすでに、顧客の側からジェンスン・フアン氏に頭を下げてチップを分けてもらうよう頼み込むところまで来ています。もう一つの方法は自社でチップを開発することで、この道をグーグルは今も追求し続けています。またOpenAIのサム・アルトマン氏も、兆ドル規模のチップ製造計画を打ち出しました。ただし現時点ではまだ準備段階にすぎず、何しろ兆ドル単位を投じて工場を建設するわけですから、たとえ成功したとしても実現には長い年月がかかるでしょう。

動画生成AIの衝撃は、すでに映像業界への投資にも第一波の影響を及ぼしています。ハリウッドの映画監督タイラー・ペリー氏は、総額8億ドルとされたスタジオ拡張計画を中止しました。

ペリー氏はインタビューで、動画生成技術の最大の利点は、各地でロケ撮影をする必要がなくなることだと語っています。コンピューター上で山小屋の情景から月面の場面まで、何でも生成できてしまうからです。その一方で、これによって失われるであろう多くの仕事について、強い懸念も示しています。映像業界がこれにどう対応していくべきか、現時点ではまだ結論は出ていません。ただ、Soraはまだ一般公開されておらず、いくつかの初歩的な技術課題も残っているため、対応策を検討する時間はまだ多少残されているといえそうです。

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Tim Shyu ニュースレター

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